私が時々行く教会は夏休みがあって、夏休み中は聖職者ではなく一般の人が礼拝サービスをする。今回は二人の医者と漢方医によるものだった。医者の一人は癌専門家なのだが、彼自身が血液癌の末期から回復したサバイバー、かつ私の腫瘍内科医の恩師だった人。もう一人はハーバードの医療グループでの内科医。漢方医は私がケモラジ治療をしていた時に時々鍼をうってくれた人である。


今日のサービスでは彼らが医療従事者として大切に思うこと、現在懸念していることを語ってくれた。


彼らの話で印象的だったのは、まず女医(内科医)の言った「患者と医者の関係(relationship)ができて初めて治癒(healingでありcureではない)が起こる。だから主治医が患者の言葉に耳を澄ますことがとても大切だ」という言葉だ(米国では専門医に見てもらう前に必ず主治医の所見が必要なのである。)


さて、もう一人の癌、血液の専門医は「希望の処方箋」の話をしてくれた人である。彼はまずドクターという言葉の語源はラテン語の「教える」から来ていると話始めた。彼がもっとも大事だと思うことは、インターンの医者を厳しく訓練し、教えること。そしてさらに、患者に「教える」ことだと言う。つまり患者に治療の概要と計画を教えることが重要なのだ。


自分の体験を通して強く思うのは、患者や家族が一番求めているのは、医者との信頼関係であり、治療の意味の説明である。今日話してくれた医者達は充分にそこを分かっていてくれるけれど、それが分かっていない医者が沢山いるし、制度的にも難しい。特に日本では、癌にかかった場合に、腫瘍内科医という患者のオーナーになる立場の医者が居ないので、患者に対して説明をする時間とか、関係を設立が難しいように思う。



今食道癌の患者の間には情報のサイトとしてケン三郎先生のブログがあるが、彼のブログはまさに「教える」「説明する」サイトだから人気があるのだろう。