今ケン三郎先生のブログ(http://ameblo.jp/kenzaburou41)でも、雄三さんのブログ(http://yuzoruru.blog51.fc2.com)でも術後の愁訴や鬱状態が話題になっている。食道摘出手術後の回復はとても遅く、なかなか食べられるようにならない。また体重が落ちてしまうので気力も落ちてしまい悪循環に陥ってしまう。私も術後2ヶ月目ぐらいがとても苦しかった。その時友人が「マタニティ・ブルー」と一緒よ、と指摘してくれた。手術(妊娠、出産)という大仕事を終えたんだけど、これからも厳しい現実が遥か遠くまで続いている。その上今の現実は今までのノウハウが効かない新しい世界なのだ。患者(母親)は不安で不安で仕方がないのだ。


医療保険に問題があり、保険でカバーされない人が沢山いて救急施設がパンク状態にある米国。劣悪なところばかりが指摘されているけれど、実は「適切な保険をもっている人」に対してはシステムはかなりうまく回転している(もっとも私の場合はマサチューセッツ州という医療のメッカだったこともあるけれど。)


食道摘出手術という大手術なのに入院期間がたった11日。流動食を1日経験しただけで退院しなければならない。これはちょっと早すぎるかもしれないが、不可能ではない。私の場合は夫がたまたまその時期時間が自由になったのが功を奏した。


ただ米国のいい点は、腫瘍内科医が主治医のような形で常に後に控えているので「不安なこと」を相談でき、医学的に緊急な時はプロレベルで外科医に連絡してくれる(また24時間体制で電話でも対応してくれる。)また術後最初の1ヶ月ぐらいは通いの看護婦が1週間に1度やって来て、手術跡、血圧、体温のチェックをしてくれる。そして彼女も「不安なこと」の相談に乗ってくれる。また外科医とのアポは栄養士と対になっている。栄養士が食事の相談をしてくれるのだ。退院後の3週間ばかりは食べたものをメールに記して、経腸チューブをどれだけ減らせるか相談できた。


これだけのサービスが全て保険でカバーされたのだ。差額ベッド代なんてなかった。「人々は保険を国民保険制度にすることで、今のメリットが減ることを(秘かに)恐れている」という指摘が今週のニューズウィークのコラムに書いてあったけれど、本当にそうだ。


日本の場合上に書いた支援的なインフラがあまりなく、全てが医者と患者個人にかかっているのではないだろうか?
それから、もう1つ違う点は、腫瘍内科や通いの看護婦制度のおかげで、ケモラジも緩和ケアも自宅で受けられること。ケアテイカーにとっては大変でも患者は家にいて、できるだけ普通の生活をしたいもの。