朝4時半に起床して、6時10分にBWHに向けて家を出る。MRIの精密検査のためだ。


同病院の外科医右腕から電話がかかってきたのは先週の木曜日。


「体重は増えてる?実はこないだのCTスキャンで肝臓に影があったんだ。術前にも影があって、それは癌じゃなかった。でも今回見えてるのは前のとは違うかもしれないからMRIを受けてほしい」というものだった。何故か再発とか転移とかを頭の中から抹殺していた私は突然の現実にたじろいだ。しかし最初に心に浮かんだのは「結果が分るまでは夫に心配をかけるまい。だまっておこう」という思いだった。日本にいて何もできない人にストレスをかけても仕方がない。


しかし根本的に根性なしなのですぐに腫瘍内科医に電話をかけた。


「実は外科医と僕は一週間ぐらい前に電話で話したんだよ。あの時はB先生、何にもしないと言ってたんだけどなぁ」「あの〜、旦那には言わないでおこうと思うんですけど先生が私だったらどうします?」「う〜〜ん、僕と家内の関係において言えば、僕もまだ言わないな」「結局、とどのつまりは、どういうことなんです?」「多分nothing。もし再発だったらchallengingだね」


何の事はない会話なんだけれど、患者(ではもうないけれど)にはこんな時間と空間が必要だ。


「実は火曜日から同通の仕事がはいってて、もし仕事の最中に『再発』なんて言う言葉を聞いて心が揺らいで仕事できなくなるのが一番心配なんですけど」と言ったら、「月曜日のMRIの後僕のオフィスに来れば、そこで電話で結果を聞いて上げるよ」とうことになった。


BWHのようなところでは一枚のスキャンも複数の目が評価する。外科医も見るし、放射線科医も見る。放射線科医は既往の情報などなし、先入観なしで全くの新しい目でデータを見る。彼がこの影を発見したのだ。医者たちが自分の診断に自信をもちすぎることなく、第3者の意見にも耳を傾けてくれる訳で素晴らしいシステムである。


しかし、こういう不安を誰にも言わずに抱えるのはとてもつらいことだ。日曜に教会に言った時、当地にある癌センターの所長で私の腫瘍内科医の恩師である血液専門医に不安を打ち明けた。実は彼自身が2つの癌からの生還者である。彼の話によると、癌患者がこう言う形で冷や汗をかくのはよくある事だと言う。さらにもし再発であれば化学治療(抗がん剤治療)になるだろうと教えてくれた。


「今何が一番怖い?」「再発で心がみだれて火曜からの仕事のパーフォーマンスに響くのが一番怖い」と言ったら「あはは、そんならキミは絶対大丈夫だ。免疫がすごく活発に動いてる筈だ」と言われた。


結局、今日の午後この影は癌でもなんでもないことが分った。大丈夫だろうなと楽観はしていたけれど、やはりほっとする。それにしてもお医者樣方、それからこのことを打ち明けた少数の御友達、お騒がせしました。有難うございました!