これまでブログに何度も「癌科の医師」と記して来たのだが、正しくは「腫瘍内科医」と呼ばれるらしい。


先日友人が日本に『ウェラー・ザン・ウェル学会』(文法的にはベターザンウェルだと思うけど)という組織ができて、癌治療をもっと包括的に扱おうという動きが出て来たと教えてくれた。その動きに関連するサイト(http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0418shuyo.html)に行ってみて驚いた。昨年時点で日本の腫瘍内科医の総数は47人なのだ。ちなみに米国は9700人である。日本と米国の癌治療の一番違うのはここだろう。


日本の方のブログを読むと、日本の病院には経験や施設がしっかりしていないのに、癌患者の手術や治療を「収入」のために引き受けるところがある, だから最初に行った病院の質の善し悪しで治療の質の差が出て来るなどと書いてある。今まで日本でも腫瘍内科が治療の要になると思い込んでいたので、今1つその事情が分らなかった。


当地の腫瘍内科医の役割は、抗がん剤の投与と治療の包括的な管理である。私の場合抗がん剤治療、放射線治療、外科手術の全てを行ったのだが、それぞれの治療に関して、腫瘍内科医がこの地域で一番すぐれた医者と施設を探してくれた。だから外科医はBWHだったけれど、放射線治療は先端のマシーンのあるマサチューセッツ大学付属病院だった。また、最初に会った外科医の腕が信用できないと彼にこぼしたところ、BWHの医者を紹介してくれた。セカンドオピニオンの重要性を強調してくれたのも彼だった。


腫瘍内科医としてのリサーチと経験をもとに、一番いい医者と施設を探し、その医者に患者の情報を渡してくれ、治療中は外科医や放射線癌科医と常に連絡をとってくれた。今後も術後の経過検査は彼のクリニックとBWHの両方で行われることになる。


彼が病院や医師を「いいとこ取り」で紹介してくれたので、病院や医者の当たり外れを不安に思ったことはなかった。さらに彼のクリニックが車で5分のところだったため、抗がん剤治療は外来だったけれど、調子が悪くなると電話をかけて、その日のうちに診てもらうことができた。また、時間外でも週末でも電話で質問に答えてくれたし、処方箋を出してくれた。一番のメリットは私のことを患者として包括的に捉え、治療内容や病期について親切に説明してもらえたことだろう。


日本の場合、その腫瘍内科医がいないので、1大学病院に入ってしまうと、そこに入院して全ての治療が行われてしまう。所謂「当たり外れ」が出てくるわけだ。日本でも腫瘍内科医が増えて、患者が外来で抗がん剤治療をうけられるようになり、「いいとこ取り」の治療ができるようになると癌との闘病のイメージも大分変わってくるに違いない。


さてさて、私の食べ物との格闘は続いている。しかし、心なしかぼーっとしている時間が短くなったし、ぐちゃぐちゃになった水餃子、チーズケーキと少しずつ食べるものの種類も増えて来た。

月曜日にBWHの栄養士に一週間食べた物のリストをメールで送ったところ、経腸チューブの缶を2.5缶に減らしていいと言われた。しかし、ということは食べる量を増やさなければならないわけで、やはり先週と同じように食べることで一日が過ぎて行く。


早期回復には歩くのが一番と言われ、毎日頑張っているけれど、かなり寒くなって来た。風のある日など、前屈みになって身体を固くして歩いている。これでは効果も半減だと思い、今日は夫とショッピングモールに出掛けた(まだ運転できないので運転手が必要なのだ。)


モールに行くと当然店に入る。運動の筈がショッピングになってしまった。ふらっと入った店で寿司シェフのくるみ割り人形(ドイツ製)を見付けてしまった。10歳の頃「くるみ割り人形」(チャイコフスキーのバレー組曲の原話)に魅せられて以来「クルミ割り人形」には目がない。結婚してからは珍しい人形を収集し続けている。


だけど今は仕事をしていないから家計は火の車。ほんとは買っちゃいけないんだけど、ふらふらっと購入してしまった。「クリスマスプレゼントに何が欲しい?」と長男が訊いて来た時に「もう買っちゃったから、○○ドル払ってね」と言うことにしよう(なんつ〜母親だ!)