私の家から、ここメーンのコテッジまで車でたった3時間(距離にして300キロほど)なのだが、真 北に位置するために秋が深い。道沿いの木々は少しずつ紅葉を始めているし、海辺の風は贅肉のなくなった身体には堪える。


7月にここに来た時はベランダに座っているだけでも10種類ぐらいの鳥を数えることができた。今回もそれを期待してバードウォッチャーの本を持って来たのだが、鳥がいない!聞こえるのはコオロギや鈴虫の声だけである。皆暖かい南の地に向かって旅立ってしまったのだ。そう言えば我が家の周りでも鳥の声が少なくなっていることに思い当たった。鳥たちは永劫の昔からこうやって季節の移ろいを教えてくれていたのに、私は生まれて50年してやっとこの事実に気付いた!


9月2日は結婚27周年記念日だった。27年前のとても暑い日に鹿児島神宮という神社で式を挙げた。夫も私も前年は米国で学生だった。私はオハイオ大学でのプログラムを終え帰国、夫はシカゴ大学修士をとったばかりだった。式の後は夫の両親と日本国内を旅行し、9月の末にはシカゴ大の既婚者用アパートで生活を始めた。貯金も仕事も何の保証もない。夫はこれから何年かかるか分らない博士課程を始めた時点での結婚だった。27年も前の話なのだけれども何故か大過去の気がしない。私達は未だに黙々と同じ道を「未知」に向かって歩いている。優しくて、私よりずっと冒険心のあるパートナーに恵まれたことに感謝の気持で一杯である。


今年は車で30分で行ける小さな町のヒストリックエリアに行きアンティークショップやお土産屋を覗いた。台所用品店でとっても可愛い日本製のティポットを見付けたので購入。歩きながらお店を覗けるエネルギーが出て来たのが嬉しい。


さて、メーンに来て以来、固形物を食べる練習をしている。無理をするとせっかく治って来た食道炎がまた元に戻るので用心しいしい、ゆっくりと時間をかけてである。しかし、バニラアイスクリーム(食べてるうちに溶けて来るぐらいゆっくりと)、柔らかいスクランブルドエッグ、牛乳でぐちゃぐちゃになったライスクリスピーというシリアル、それにチーズケーキが食べられた!それにコップ1センチぐらいのビールも!(ドイツでは授乳中のお母さん用の栄養ビールもあるんだし、飲んでいいだろうと勝手に結論付けた。)ビールのポップってこんなに食道ではじけるものだったんだ。