昨日で強行軍の仕事が終わり、今日はインプラント。7月に抜歯とグラフティング(移植)を行ったので、今日がインプラント


さて、「奇しくも」なんて言っちゃうと大げさだけど、実は今日は食道摘出手術をしてからちょうど2年目。こうやって元気になれたのは、発見が2期と3期の間であったこと、癌がケモラジに敏感に反応してくれリンパへの転移がなかったこと、腕のいい外科医が侵襲性の低い胸腔鏡を用いた手術をしてくれたこと、私が癌以外は全く健康であったこと、腫瘍内科医や通いの看護婦の暖かい支援があったことなどに加え、術前に家族、友人から励ましや祈りを沢山もらい、とても健全な精神状態で手術を迎えることができたからだと思っている。皆様、その節は本当に有難うございました。


さて、私のブログは雄三さんのサイトにリンクされて、数ある食道癌の闘病ブログコミュニティの一部になっている。摘出手術を終えた時、5年生存率は50〜60%ほどだと外科医から言われたのだが、このコミュニティでも同様の割合で冷酷な現実が展開している。例えば、ついこの間までダンピングや飲み込みの難しさをブログやメールで語り合っていた方が亡くなってしまったり、「最近疲れる」とブログで訴えていた方に再発があったりする。ブログでしか知らないし、書き込みもせずに読ませていただいているだけの方も多いのだけれど、悲しいニュースが入るたびに心が大きく動揺する。


4年前広島の被爆者の方々とピースシンポジウムでお仕事をした時に「生存者の罪悪感」という言葉を聞いた。「あんなに惨たらしいことが起こり、自分も被爆をし、身体には色々な支障がある。だけど自分は何故か生かされている。亡くなった方のことを考えると生きていることに関して罪悪感がある」と。


癌の生存者の場合も似たような気持ちがある。私の場合は外科医や腫瘍内科医から見ると「助かるべくして助かった」ケースなのかもしれない。しかし癌の発見の経緯や、いい医者と出会えたことなどを考えると「生かされている」とハンブルになる。優れた方、強い方、賢い方、優しい方が亡くなって行くのに自分が幸運に生きていることを済まなく思うことがある。



なのに、されど術後2年。細くなった身体にも慣れ、食事中にトイレに駆け込むことにも慣れ、最近の日記は仕事と食べ物と物欲のノー天気な話ばかり。食道癌のブログということで読まれている方の中には「あんたはラッキーでいいけどね」と思われる方もいらっしゃるのではないかと思うことも多々ある。


でもこれは私のブログなので、この調子でこれからも「愚かで普通の話ができるようになった元癌患者」として日記を書き進めて行こうと思う。