歯内療法医(endodontist)で抜歯、移植、インプラントの日。治療の前に医者を免責する書類にサインをしなければならないのだが急に不安になった。「5%ぐらいの確率でインプラントが上手く行かない可能性がある(抜けてしまうのだ。)実はあと1週間でフランスに出かける。もしそこで問題が起こったらどうしよう。もしかしたらこの治療旅行から帰って来てからの方がいいんじゃないだろうか。。」


実は去年の秋の仕事で、カナダから来た女性の通訳と仕事をした。彼女はインプラントの手術直後に飛行機に乗って来て、翌日から仕事を開始した。気圧の変化のせいだろうか、仕事中インプラントから血を滲ませながら仕事をしていて、仕事の合間に医者と電話で連絡をとりあっていた。突然その場面が蘇ってくる。フランスだと米国の携帯は通じないから、そういう相談も簡単にできない。。。


「ごめんなさい。かかりつけの歯医者(この歯内療法医を紹介し、連絡を取り合いながらクラウンを作ってくれている医者)とコンサルさせてください」とかなりきつい口調で要求し,自分の妻が同じ状態でも今日の手術を選ぶ」という彼の言葉をもらってから手術に同意した。


そして。。。結局はインプラントはしなかった。抜歯して即座にインプラントができるかどうか検討したらしいのだが、外側の骨が短くなりすぎていたらしい。今日は骨の移植までの治療。あと2、3ヶ月まって移植が安定してからインプラントをすることになった。つまり今回の治療では抜歯をして感染していた部分をきれいにしただけ。これだと旅行中に問題が起こる可能性は全くないわけで精神的には一番楽な結果になった。


ところで食道がないのはやはりちょっとだけ不便だ。抜歯の前に炎症防止の薬を摂らなければならなかったのだが「食道がないので液体か、細かく砕いた錠剤にしてください」という要求をしなければならない。さらに飲み込んだ後数分は身体を立てておかなければ喉元に薬がつまっているような気がして仕方がないのだ。