気温は零下10度ぐらいだと思う。外の雪は朝日を反射してまばゆく、空も窓の向こうの海も冷たく青い。きーんと空気に緊張のある朝だ。朝一で水彩のスケッチにとりかかる。何度もスケッチをしたことのある景色だがいつも新しい。考えてみれば日本に行ったっきり始めてのスケッチだ。



お昼からは閑散とした冬の観光地をドライブしてギャラリーやギフトショップを廻る。通りの店の殆どが冬場は店を閉めているのだが、開いているところは地元の人の溜まり場になっている。おしゃれなカード屋ではおじさんがゴールデンリトリーバーとクッキーを分け合って食べていて、なぜか犬の方が上等なウールのマフラーをしめていた。コーヒーショップでは漁師風のおじさんがキャロットケーキを食べながら新聞をのんびりと読んでいた。私は何となく小腹が空いてそこでトマトのビスクを注文したけれど、こんなに美味しいトマトスープには始めてお目にかかった。スープに付いて来たペザント風のパンも腰があってとっても美味しそうだ。パンは喉に詰まり易いので最初は手をつけなかったのだが、誘惑に負け少しずつ小鳥のようについばみよく噛んだ。結局1度はつまってトイレに駆け込んだけれど「あ〜、美味しかった!」
最終的には1枚食べ終わってしまっていた。



夫と二人で何の目的もなくドライブをし、何の目的もなくお店をひやかす。子供が家を出て以来すっかり移動やすれ違いが多い生活になってしまった私たちにはとても大事な時間である。



夕食はタイ料理のテイクアウトをキャンドルライトの下で。