http://tabinobu.blogzine.jp/のブログを書いていらっしゃる「のぶさん」からツイッターでフォローしますという連絡を頂いたのは2週間程前。のぶさんは今年の1月26日にご主人を食道癌でなくされた。

その彼女が「こんな医師に早く出会いたかった」とツイートなさった記事がこれ。中川恵一さん(東京大学医学部附属病院放射線科准教授/ 緩和ケア診療部長)のインタビュー記事だ。とても素晴らしい記事だったのでご紹介。
https://aspara.asahi.com/column/medi-kataru/entry/m8E202KVQW

とても興味深かったのはこの医者も前のエントリーに書いた私の医者も放射線科の医者であること。手術をする外科医ではなく、根治、姑息にかかわらず患者と定期的に会って患者と向き合わなければならないお医者様だ。

このブログで何回も書いているのだが、米国と日本の癌治療の大きな違いは腫瘍内科医の数の違いだと思う。腫瘍内科医は専門機能としては化学治療を受け持つのだが、役割は患者のケアマネジャー。治療の要に立って、外科医や放射線科医との治療をコーディネイトしてくれる。患者に対して責任をもつ立場だから、セカンドオピニオンの相談も、治療選択の相談もしてくれる。

中川医師は「治ってしまえば一番いいのですが、治らなくてもそれを支える医療がある。支える医療によって実は延命さえできる。私のような放射線治療や緩和ケアの専門家は、がんの種類を選ばず、入り口から出口までがん全体が非常によく見えます」と言っている。こんな医者が米国では腫瘍内科として独立していて、癌に特化した主治医になっている。

最近の日本の状況は分からないけれど、少なくと2、3年前、その数字はとても少なかった。中川医師はインタビューの中で「開業医の先生たちにも癌の入り口と出口でぜひかかわってほしい」と言っている。もちろん今の日本の状況ではそうなのだが、腫瘍内科医という専門職が増えると入り口、出口の患者の対応がうまく進むように思う。