7月4日独立記念日。花火とバーベキューの夏の嘉日の筈だけど肌寒く雨模様。夕べ帰って来た長男と朝ご飯を食べにihop(International House of pancake)へ。祝日だから開いているところはこれぐらいしかなかったのだのだが、恐ろしくまずかった。


午後からは『椿三十朗』の黒沢版を見た。例のお友達が参考に黒沢版も入れてくれたのだ(感謝!)「黒沢は天才、三船は逸材だ」と言ってしまうと歳とった人のたわごとみたいで嫌なのだけれど、そうとしか言いようがない。2つにはドキュメント映画と浮世絵御伽草子ほどの違いがある。黒沢版では登場人物が生き生きと動いているのに、リメークでは2面的な浮世絵をみるような気がするのだ。黒沢の映画はメリハリが効き、登場人物にも台詞にも必然性がある。9人の侍達も成熟していて青い烏合の衆ではない。リメークではスローな台詞で笑いを呼んでいた奥方が、黒沢の映画では上品で腰の据わった賢夫人に見える。今回のリメークでは筋も台詞もバックドロップも意図的に黒沢と全く同じにしているから、監督が喜劇的な運びを選んだ理由は良くわかる。三船のような「生の獣」の存在感のある材料が使えた黒沢と、40歳になった根本的に好青年の織田裕二を主役に選んだ森田監督の違いなのだろう。


それなのに豊川の演ずる室戸だけは黒沢の映画に見劣りがしない。とぎすまされた鋭利なナイフのような静けさが漂っていて、ギラギラとした仲代達矢とは違ういい味を出している(甘いかな?)去年mamaさんが書き込んでくださったのはこのことなのだろう。


それにしても黒沢版のエンディングが凄かった。これってサム・ペキンパーとかで暴力描写が話題になるずっと前の映画なのに。