大腸検査は無事に終わり「あと10年はやらなくて大丈夫」と言われた。今回の検査は私の食道癌を見付けてくれた先生にやってもらおうと、彼の異動先の大学病院に行ったのに、今日は病欠。やめようかと思ったけれど、また絶食をするのも嫌だし、丸一日潰れるのでスケジュール調整も大変だ。替わりの医者は内視鏡部門のディレクターだったので安心して任せる。


手術の前にはカーテンで仕切った準備室に通される(どこの病院でも殆ど同じである。)患者はそこで点滴をほどこされ、術前の軽い確認の問診を受ける。ここの病院には10ぐらいの仕切部屋があって、他の患者の会話が筒抜けである。


ななめ向いの部屋から聞こえてくる会話。
(医)「そう、そんなに胸焼けがひどいの。。。で、体重がずっと減ってるのね。食べ物がつかえることがある?」
患者の答えは聞こえないから頷いたのだろう。
(医)「胃の入り口が狭窄になってるのかもしれないね。内視鏡でひろげてあげるよ」


この人はきっとかなり進行した食道癌にちがいない。医者の最後の言葉は私が内視鏡検査の時に聞いた言葉と同じ。つまり医者はこれを常套文句でいつも使うわけだ。


ベッドに乗せられて、手術室に行く前にこの患者の顔をみることができた。まだ20代の若い男の人だったけれど、とっても顔色が悪かった。