およそ10年近くこの町のグルメグループに参加している。食べること、作ることが好きな夫婦が1年に4回集ってフルコースの食事をつくって食べるグループだ。その一組の息子さんが自動車事故で1週間前に亡くなった。「何かできることはないか」と尋ねる私達にクッキーを焼いてくれとの要請が届いたのは昨日。教会で行われる追悼式の後、サンドイッチを主にした食事が提供される。その部分はプロに任せるのだが、デザートの部分を手作りのクッキーにしたいということなのだ。早速80個ほどを焼いて持って行った。


きれいにクリスマスの飾り付けがしてある家の暖炉のある部屋に通され、1時間ばかりお二人と話をした。息子さんは精神病をもっていてお二人は「この日」の来ることを覚悟していらしたらしい。とっても悲しい時間ではあったけれど、これまであまり話せなかった家族の苦労を色々と話してくれた。静かな時間のとまったような一時だった。


その上に日本の学芸員の方から悲しい報せが届いた。ボストン美術館学芸員の方が肺癌で亡くなったという。彼女とは今年の1月復帰の最初の仕事でご一緒したのだが、その時も顔色が悪かった。


昨年食道癌が発覚した時、頭への転移の有無を確認するためにMRIを受けた。その時、その部屋で彼女と出会い、二人でびっくりしたのだった。でも私の検査が終わった時、彼女はまだ検査中で話をすることができなかった。1月にお会いした時顔色は悪かったけれど、御元気そうだったし、髪の毛も前と同じにあったので(今考えるとかつらだったかもしれない)仕事中だったこともあり話をしなかった。肺癌だったのなら、私と同じ「胸部科」の医者に罹っていたはずである。お話すればよかった。手術のできない腺癌だったのだろうか。。。