昨日に引き続き今日もまるで秋のような天気。そよそよと木々を渡る風は乾いて冷たいぐらいだ。


シカゴ時代の友人夫婦(JとR)がカンフェレンスでボストンに来ているので会いに行った。昨年癌にかかっていることが発覚し腕のいい外科を探している時お世話になった人々だ。Jは現在メイヨクリニックという米国でも屈指の医療施設の教育部門のトップで活躍している。食道癌という米国ではマイナーな癌に罹ってしまった私はボストン周辺での医者のリサーチを彼にお願いしたのだ。最終的に彼(彼の奥さん)が推薦してくれた外科医と腫瘍内科医の薦めた人が同一人物だったので迷うことなく決定することができた。


24年前彼らと夫はシカゴの「出産ラマーズ法』クラスで出会った。彼らは夫婦で参加しており、夫は1人で参加していた。


81年から83年までの2年間東京に滞在した後、夫はシカゴに帰って論文を執筆していた。私は日本での仕事を続けたかったし、第一子は実家で出産したかったので東京に残った。従って夫はシカゴで呼吸法補助のクラスに行き、私は東京のラマーズ法クラスに参加するという奇妙なことになったのだ。長男を出産後2ヶ月でシカゴに戻り学生夫婦生活を再開した時なんと2人は同じアパートに住んでいることを発見した。Rがドイツ人であったこと(アメリカ人ではなかったこと)、子供達の誕生日が1ヶ月も違わないこと、私がシカゴの公立高校で日本語を教えている間Rが息子のベビーシッターをしてくれたこと、彼らも私達もかつかつの学生夫婦生活であったことなど様々な要因がからまり私達はとても親しくなった。乳母車を押しながら歩いたシカゴ大のキャンパスや夏の強い日差しを昨日のように思い出すことができる。その後、彼らはミシガン、ミネソタへと移動し、私達はペンシルバニアマサチューセッツへと動いたのだが必ずクリスマスカードを交換し、お互い訪問する機会があればできるだけ時間をつくるようにしている。


数年前彼らがボストンに来た時私は出張中だったので今回は10数年ぶりの再開だった。Rは全然変わっていない。Jの黒々とした髪は白い物が目立つようになったけれど、体型も声も変わっていない。すっかり偉くなって世界を胯に掛けて週80時間のペースで仕事をしているのに未だにフルマラソンを走っているそうだ。それが出来るのは良妻賢母のRのおかげなのだが。


とても清々しい秋めいた日だったのでボストンコモンのベンチに座って罹癌のこと、子供達のこと、米国の医療システムのことを語るうちに2時間はあっと言う間に過ぎた。