マサチューセッツ州の犯罪歴システム委員会からCORIが届いた。CORIとはCriminal Offender Record Information(犯罪者記録情報)の略である。その書類には「マサチューセッツ州の犯罪記録コンピューターデーターベースの中に○年○月○日生まれのまゆみ○○には犯罪の記録も法廷に出た記録もないことを証明する」と書かれていて判子が押してある。この少し侮辱的な記録証明をグリーンカード(永住権)更新のために25ドルも出して取得しなければならなった。


何故かと言うと、私の指紋を機械が読み込めないのだ。まず3月に移民局許可申請センターに行ってコンピューターに繋がっているキャプチャーマシーンで指紋を取ってもらった。とても寒くて乾燥している日で、キャプチャー係の黒人のおじいさんは黒く汚れた湿ったラテックス手袋をはめた手で私の指を何度もこすって指紋を取った。「貴方、手を洗いすぎるんだよ」なんて言われたけれど「あの汚い手袋で何人の指を触ったんだろう」とすご〜く嫌な気持で戻って来た。結局その時のキャプチャーは不完全で5月にまた申請センターに出直した。今度は中国系の若い女性が丁寧に30分ぐらいかけてキャプチャーをした。


ところが、である!結局その時の指紋もうまくキャプチャーされず、替わりに1通の手紙が来た。


「貴殿は5月29日にBoston ASCに永住権更新のための指紋取りに出頭した。その時点で貴殿の指紋は分類できないと判断され、プロセスのためにCORI(犯罪者記録情報)が必要となった。
過去5年間居住している町の警察の出頭してCORIを取得すること(この部分には下線がひいてある!)あるいは下記のエージェンシーからも取得できる(住所が書いてある。) CORI取得後、原本を送ること。これが遅れるとカード製造が遅れることになる」


何で私が警察に出頭しなければならないんだ!まるで犯罪者扱いじゃないか!私は時間もガソリン代も駐車代も費やして何度も何度も申請センターに行ったのに、『申し訳ないけれど』の一言もない。洋の東西を問わずお役所って何故こんなに威張っているんだ!在日外国人が指紋取りを拒否するわけがわかる!等々と頭にきたのだが、どうも理由は別のところにあるらしい。町の警察に電話をしたところ「あなたの指紋が薄いんじゃなくて、その機械が悪いのよ」と冷静な女性が気の毒そうに答えてくれた。つまり政府の使っている「データキャプチャー」の機械の精度が悪いのだ。昔ながらの墨(みたいなインク)を塗る奴なら大丈夫らしい。


9.11以来米国政府の入国政策は厳しくなり、米国市民、永住権保持者でなければ、入国管理で指紋を取られる。しかし同じテクノロジーを使っているとすれば、かなりの人の指紋がキャプチャーできていない筈だ。


さて、米国では今年の冬からカナダやメキシコに陸伝いで行くにもパスポートが必要になった(これまでは身分証明書があれば良かったのだ。)夏のバケーションを控えて沢山の人がパスポート申請を始めたのだが、米国パスポートプロセスオフィスはその量に対応できずパンク寸前らしい。(どうやらオフィス側はスタッフをホンの少ししか増やさなかったらしく、完全なミスである。)4ヶ月待ってもパスポートが申請者に届かず大騒ぎになり、とうとう「申請中」の証明をダウンロードすれば良い事になったらしい。ところがダウンロードも非常に混んでいて時間がかかる。さらに受け入れ国側によってはダウンロードの証明だけでは不十分なところもあると言う。そこの擦り合わせさえもしていないのだ。


ポリシーを実践する前の現状の能力把握やシミュレーションが全然できていなくて、あまりにも幼稚な間違いが繰り返されている。何となく象徴的な出来事のような気もする。困ったもんだ。