手術直前に、皆から沢山のメールをもらった。その中の幾つかに「守護霊みたいに皆が手術台を取り囲むかもよ」とか「お医者さんは皆の祈りの重さを感じるかもしれないよ」と書かれていた。


入院中の10日間、本当に不思議な力で支えられていると感じ、気弱になることがなかった。皆の祈りと「気」は本当に効きました。有難う!



退院してから3日目の今日は教会に行き、色々な人と話をした。皆からもらった元気玉のおかげで、奇跡的と言っていいぐらいに調子がいい。食道全摘の手術をして2週間もたたない私が教会に出現したので、皆がびっくりして、とても喜んでくれた。その後、紅葉がとても美しいので2時間ばかりドライブに出掛けた。もちろん術後の痛みはあるのだが、動かなければ大丈夫なので、ドライブは最高の気晴らしである。



さて、私の入院期間は10日間だった(術日を入れて11日目に退院した)。今は日本の病院でも3週間程で退院できるところがあるらしいけれど、日本と比べて入院期間が非常に短い。それを可能にしている一番大きな要素は個別看護の徹底かもしれない。



入院期間中、私はICU(3晩)とIntermediate Care Unit (3晩)、そして2人部屋(4晩)に移動したのだが、ICUでは看護婦1人が受け持つのは患者1〜2人で、付きっきりである。Intermediateでは1人の看護婦につき、患者2人。2人部屋では、看護婦1人が4人の患者を受け持つ。特に私の入った階は「胸部外科」専門階なのでIntermediate Care Unitも2人部屋も「胸部外科」の患者用である。看護婦達は胸部外科の術後のケアを専門にしているため、どこに注目し、気をつけなければならないかが良く分っていて肌理の細かい手当をしてくれる。


実はIntermediate Care Unit で運命の不思議とでも言うような出会いをした。ここで2晩丁寧に私の世話をしてくれた看護婦さんが日本人の「とも子」さんだった。


とも子さんは関東出身。日本で学校を出た後は医療事務の仕事をしていたのだが、友達を癌でなくしてしまうという悲しい経験をして、一念発起。米国の大学に留学して看護婦の資格を取得し、今はBWHで仕事をしている。BWHはハーバード大学の大学病院なので、ここで仕事を得るためには成績、履歴が優秀でなければならない。「優等生だったんでしょう?」と質問したら、陽気に笑って「成績はとってもよかったですよ」と答えてくれた。


日本人らしく(としか表現ができないのだが)まめまめしく、アメリカ人のように(これも他に表現が見付からない)決断力をもって、丁寧に二晩ケアをして貰った。Intermediate Careの時点では硬膜外麻酔がまだ入っていたし、点滴のせいで体重が10キロも増えたせいで皮膚はボロボロというまだまだ油断できない状態だった(とも子さんの監視の下、利尿剤を使いあっという間に元に戻りました。)


今回の手術の経過に関しては、人間個人という小さな存在を越えた超然的なサポートを貰っている気がしてならない。それをどう呼べば良いのか分らず、元気玉とか、皆の祈りの力とか、神様とか奇跡とかで表現しているのだが、「とも子さん」にこの時点で出会えたことも奇跡の1つであるような気がして仕方がない。