第3回目の化学治療の夜の吐き気がどうなるかと不安だったが、かなり楽だった。「できるだけ薬を飲まない」から「予兆的に飲む」姿勢に変えたのだ。お蔭で朝もかなり爽やかに目がさめて、バナナとアイスクリーム、お味噌汁に、パスタという摩訶不思議な朝食をとることができた。


さて、今日産まれて初めての鍼治療に行った。


実は、今乳癌の化学治療をしながらもコスタリカに飛んで顧客の精神分析をしている友人のRがサンフランシスコの漢方医と共に補完治療をしている。この漢方医は鍼と漢方薬の専門家で、化学治療に使われる薬の副作用を考えて、漢方のサプリメントと鍼で免疫活性の処方を考えてくれる人だ。Rの免疫活性が素晴らしくいいと言う事を聞いていたので、私も彼の処方を試してみる事にした。


実は私が手術をしたBMHとDana Faberでも漢方薬と鍼の補完治療がかなり研究されているので、ボストンまで出て行ってもよかった。しかし、友人Rの推薦もあるし、非常に経験をつんだ医者のようなので、メールや電話で話をして治療のプロトコールをつくってもらった。勿論サンフランシスコまで飛んで鍼をうってもらう訳にはいかないから、鍼は近所のとても評判のいい鍼師のところに行く。


鍼師のE(女性)は私達が通っている教会のメンバーである。私が癌にかかったことを聞いて以来、自分のことのように心配して電話やカードで連絡してきてくれていた。


彼女はまず私の脈を測る。漢方の脈の測り方は3通りあって身体の中の機能の力を知るのだそうだ。どうやら「腎臓」(必ずしも西洋医学の意味ではない)が弱っているらしい。次に舌を出しなさいと言われる。舌が白い。身体の中が濡れているそうだ。「今日は初めてだから」ということで、腕や足を中心にまず12本ぐらいうってもらって休んだ。気持がよくて、ついうとうとする。その後背中の脊椎に沿って鍼をうってもらってリラックスして、マッサージで終わりだった。マッサージの後に出してくれた白湯がとっても美味しくてごくごく飲んだ。


彼女の家をでた後、時間がなかったのでミルクシェークを車の中で飲み。そのまま放射線治療に向かった。


彼女の治療を受けながら、癌に罹って以来始めて「普通の気持」がした。癌にかかっているから「鍼をする」というのではなく、単に健康な身体のバランスを直しているような気がしたのだ。そしてその「普通の気持」はとても気持のいいものだった。そして、放射線治療から帰ってきた時は、本当に気持のいい倦怠感があって、そのまま深い昼寝を1時間半ばかりした。手術をして以来すっかり忘れていた「深い眠り」で起きた時朝かしらと錯覚したほどである。


サンフランシスコの漢方医の処方は1週間を前半と後半に分ける。前半と後半で摂るサプリメントの種類が違う。前半は化学治療の促進、後半は免疫活性に集中しているのだ。まだ到着していない物もあるが、今日は手に入るものから飲み始めた。今回の放射線治療の時は赤血球数が足りなくて薬をうたれた。このサプリメントが効いてくれれば、赤血球の数も増す筈である。