今日は青空の思いっきり広がるきれいな初夏の日。またもや朝5時起きでBWHに向かった。B外科医と先週の検査の結果を総合して、ネクストステップの話をするのかと予想していたのだが、あっという間に明日手術をすることになった。手術と言っても癌の手術ではなく、お腹の中にチューブを通して毎晩そこに1500カロリーの栄養をいれるための手術だ。


今日のB外科医の話をまとめると、こんな感じだ。
先週の内視鏡エコーの結果はT3(浸食度)でN0かN1(転移の範囲)かを確定することはできなかった。しかし腫瘍のサイズと浸食度から見て、PETスキャン(誤差5mm)で見落とされた転移があるかもしれないので、抗がん剤治療と放射線治療をまず行う。抗がん剤治療も大変だが、放射線治療とは蝕まれている部分を焼き切ることなので、多分食べることができなくなるだろう。故に、明日お腹にチューブを入れて(Jチューブ)毎晩人工的に栄養補給をする。さらに抗がん剤をいれるカテーテルを首に入れる(点滴よりずっと安全なのだそうだ)。また、気管支鏡、腹腔鏡、内視鏡検査も行って肉眼で転移の有無を見ることになった。


「普通の人は200ポンドぐらい(100キロ)あるから、余剰脂肪があるんだけど、貴方は今がパーフェクトだから、体重が落ちるのが一番心配だし、この手法はもう15年ぐら使われているから大丈夫だよ」と言われた。今の体重が49キロ。アメリカ人が見るとめちゃくちゃ小さく見えるのだろう。


明日の手術で上記の検査、挿入をした後2晩入院。金曜日には私をずっと診てくれている癌専門医のDとコンサルをして来週には抗がん剤放射線治療を行うことになる。


今回驚いたのは、スピードの早さと彼の力だった。大きな病院だから2、3日後に手術だろうと思っていたのだが、彼はすぐに私を自分のアシスタントのところに連れて行って、明日の手術の予定を入れた。そして書類もなにもできていないのに術前検査の割り込みをさせ、あっという間に検査も済んだ。検査の後、例のごとくオーボンパンでスープとマフィンを頬張っていると、D癌専門医から携帯に電話がはいった。B医師からすでにメールで明日の手術の連絡が入ったとのこと。


特別扱いで、手術を割り込ませたということは、かなり難しい事態、あるいは病期的に分岐点にあるということなのだろうか。しかし特別扱いで迅速に治療が進むのは非常に嬉しい。単純に喜ぶことにした。


人は分岐点で色々な決断を下していく。私にも漢方を薦めてくれる友達がいて、その暖かい言葉ゆえに迷わなかった、苦しまなかったと言えば嘘になる。私自身漢方がよく効くことがあるのは体験済みだし、全体論的治療法に共感する。しかし、B医師の説明は日本の大学病院で「最新」とされている治療法を網羅しているものであったし、私の少し行き過ぎぐらいの質問にも柔らかく答えてくれた。今東京の某病院で食道科を率いている医師は彼のもとで修行をしたとも言っていた。髪の毛は少しグレーになっているけれど、眼鏡の奥からのぞく少年のような目はとても優しかったし、素晴らしく聞き上手だった。日本の次に食道癌の治療数の多い病院で、この癌の専門医として全米に名を馳せている彼を信用できる気がした。


。。。という訳で、いよいよ治療が開始されることになる。だから次の2日間はブログは休み。


今後の予定は以下のとおり:

抗がん剤放射能治療が6〜8週間(夫は4〜6週間と聞いたらしいが)
4週間の休息期間
癌の手術
6週間〜8週間の回復期

10月10日に入れている仕事ができるかな〜。