福岡に住んでいる悦友さん(トヨエツファンの友達)から「弁護士のくず」(TBS木曜22時)の7話と8話が送ってきた。実は、というか皆もう知ってるけど、トヨエツにはまってもう5年になる。トヨエツの代表作は「愛していると言ってくれ」で、聾唖者のアーティストの純愛を常磐貴子と演じて一世を風靡した。芸能界、特に日本の芸能界にうとい私は「ラブストーリー」というドラマで、その何年も後に熱狂的なファンになった。そして、様々な悦友さんと御友達になり、お蔭で彼の劇団30○の頃のビデオから、コマーシャル、インタビュー、舞台挨拶におよぶ殆どの映像を所有するに至っている。一時は太秦の映画村を訪ねたぐらいだから凄くアツかったのだ。


しかし、彼はデビューがあまりにも格好良かったため、またイメージがあまりにも強すぎたためか、ここ2、3年は少し伸び悩んでいた。男優も女優と同じで、40を過ぎると「甘いロマン」で番を張るのは少し難しくなる。だけどファンはいつまでも美しく影のあるキャラクターのイメージを投影し続ける。俳優さんも大変だ。


今回の「弁護士のくず」はビッグコミックの漫画を原作にした荒唐無稽のドラマでキャバクラのシーン満載。あの豊川が鼻くそはほじるし、股間もかく。彼自身も漫画の主人公と同じようにホッペタを真っ赤に塗っているし、話の筋も単純で無理もある。人情話の部分もドラマを5分見ると大体予測がつく。ところが、面白くて、それなりにかっこよくて気楽にみられるのだ。


この面白さと心地よさは一体何なのだろうと思っていたら、2年前に見た中村座の歌舞伎を思い出した。話は人情もので、最初からキャラクターが決まっていて隈とりと表情で『約束事になっている感情のパターン』が示される。観客は劇の展開がどうであれ、最初から善玉と悪玉が分っていて事の成り行きを気楽に楽しむ。な〜〜んだ、日本って、日本人って結局あんまりかわってないじゃん。


このBlogを読んでくださってる方の中にはトヨエツファンもいらっしゃるので、あんまり大声では言えないのだけど、古いイメージを脱出しきれない彼に実は最近飽きていた。でも今回の「くず」を見てファンでいて良かったと思った。セレブではなく役者として、これまでのイメージをぶち壊すことを恐れず、変化している。その居直りと幅の広さにこれまでになかった逞しさを感じるのだ(何だかんだ言って、やっぱりまだファンだ。)


今日8話まで見てしまったので、もうあと2話しかないのが残念である。「どんな話だったの」と言われてもすぐに思い出せないようなくだらないストーリーなのがすごい(?)


さて、これは惚れてしまった女の戯れ言なので、ご覧になって「バッカみたい」とか「くだらない」とか思われても責任は負えません。でも何も考えたくなくて「スポニチ的男御伽草子の世界」にひたりたい方には最適のドラマです。


あ、そうだ、そうだ、豊川の「やわらかい生活」という映画が6月10日に関東地方で封切られました。ここでは、いわゆる伝統的なトヨエツのセクシーな駄目男ぶりが見られますので、ぜひどうぞ。