26日金曜日はペットスキャンだった。放射線を浴びたグルコースを体内に注射器で注入し、それに対しがん細胞がどのように反応するか、トラッキングしていく。砂糖水に驚喜してイソギンチャクのようにガン細胞がもぞもぞと毛(?)を動かす。それを映していくようなものだ。検査員がとても優しい人で、彼の気遣いがとても嬉しかった。


この結果が癌の進度を決定するのだが、私は検査の途中で数分居眠りをしてしまった。検査の間身体を動かしてはならないので、「坐禅と同じだ」と思って息を数えていたのだが目をつぶってしまったのが間違いだった。はっとした時には終わっていた。結果が分るのは火曜日だけれども、結果もこんなにお気楽なものだといいと思う。


27日は5時起きでメーン州に向かった。仲のいい夫婦2組が金曜日に夕食に誘ってくれたのだが、お天気がよさそうなので3時間ドライブをしてメーン州の小屋で皆で1泊することにした。湿気もない気持のいい初夏の日だ。友達より1足先に着いて、小屋を掃除してサラダやパエリアの下ごしらえをする。友達が到着してからは、デッキで海と夕焼けを眺めながらワインを飲み(もちろん私は飲まない)、鳥の名前を教えてもらう。友達の1人はバードウォッチャーなのだ。小屋のまわりには20種類ぐらいの鳥がいるらしいのだが、世界が広がったような気がした。夕食の後は、デッキで満天の星を眺めたりして合宿みたいに楽しい夜だった。


今朝は、近くにある岬が自然保護園になっているので、皆でそこを3キロばかり散策。海に泳ぐアザラシの頭も見えた。海はアメリカの画家ベンソンの絵のように、キラキラと優しく輝いていた。


たった1泊2日だったのだが、ゆっくりと優しく時間が流れ、思ってくれる友達の心遣いがとても嬉しかった。


いい気持で帰って来たら家中がひっくり帰っていた。大学を卒業した長男が持って帰ってきた家具、荷物一式がキッチンとダイニングルームにところ狭しと並んでいたのだ。少しずつ時間をかけて片付けよう。