[回復]


実はロックランドを訪れたのは2度目である。1度目は2006年の9月、食道摘出手術の数日前のことだった。ケモラジによる食道炎がやっとおさまって食べられるようになり、食道とお別れしなければならない日が目前に迫っていた。(お米があんまり美味しくなかったけれど)握りや、おそばを「馬のように」食べた。あの時のウニは「前世」で一番美味しかったかもしれない。



摘出手術間近の私に腫瘍内科医は「you will be a new person」と言った。摘出後には食生活だけでなく生活が大きく変化する。体の一器官がなくなる訳だから「回復」するわけではないのだ。だから彼は「治ります」と言う言葉ではなく「前と同じじゃありません。あなたは生まれ変わりますよ」と言ったのだ。



その言葉には、破壊と新生が含まれていて摘出後の生活を前向きに適切に表現していた。術後の鬱期が短かったのも、かなり前向きに「食」や「仕事への復帰」に取り組めたのもこの言葉のおかげだったかもしれない。


「前と同じように」ならないのは当然なんだという諦め。新しい生活に第一歩から赤ちゃんの様に慣らして行かなければならないという覚悟ができたような気がするのだ。ケン三郎先生、どうでしょう?