熱波がやっと和らぎ、今日は雲一つない青空が美しい素晴らしい夏日。Kさん達が来た日がこんな天気だったら良かったのにと思いながら、往復350キロの1日がかりのドライブに出掛けた。7月30日付けのニューズウィークに紹介されていた『Making It New: The Art and Style of Sara and Gerald Murphy』という展覧会を見にマサチューセッツ州の端っこにあるWilliamstownまで出掛けたのだ。ここはハーバードと並ぶエリート校Williams Collegeの所在地で、この展覧会も大学の美術館で開催されている。


ジェラルドとサラ・マーフィは裕福な米国人のカップルだった。第一次大戦後、フランスのリビエラに屋敷をかまえ社交界の場を提供し、当時のアートやスタイルをリードした。彼らの社交サークルの中にはピカソヘミングウェイ、ドロシーパーカー、フィッツジェラルドなど文壇画壇の才人達が去来している。文学で言うとロストジェネレーションの土壌を作ってくれた夫婦であり、フィッツジェラルドの「夜はやさし」のモデルになった2人でもある。今で言うとパリスヒルトンみたいな社交界の花、トレンドセッターだったわけだけども、サラは4カ国語が話せ、美術への造詣が深かったし、ジェラルドも画家だったのでずっと知的だったのだ(もっとも裸でヨットに乗ってる写真もあったから当時は眉をひそめられていたのかもしれない。)


私は全く知らなかったのだが、ジェラルド・マーフィはキュービスムの絵を数枚残している。今回の展示は彼の絵、サラとジェラルド、子供達の写真、サロンの客人であったピカソヘミングウェイフィッツジェラルドの写真、ピカソの描いたサラの絵、他交流のあった画家、アーティストの作品などを中心に「当時」を甦させるようなものだった。大学時代「読みやすいから』で読んだロストジェネレーションの作家達だけど、ちょっとは知っている世界。私は展覧会は感覚で見て、説明は余り読まない方だけれど。その世界の基調、リズム、興奮がなんとなく伝わって来た。大学時代の知識がやっと役にたった!


それにしてもこの夏はフィッツジェラルドに良く出会うなぁ。大学を卒業して以来すっかり忘れていたのに。