朝5時起き。6時に自宅を出てBrigham and Women'sの咽喉外科にセカンドオピニオンの相談に行く。8時がアポだったので9時には病院を出られると思っていたのだが、非常に時間がかかり、10時半には医者との相談をこちらから切り上げなければならなかった。


従って、「医者と馬があうかな」なんて確かめる時間もなかったが、彼は「この扁平上皮食道癌は、日本、韓国、中国の一部、イランに多いんだよ。だから食べ物が原因かもしれないと思われていて、韓国の場合はキムチが疑われている」と教えてくれた。「いくつでアメリカに来たの?家では日本的な食事?」と聞く。「あんまり肉は食べませんけど、別に和食でもないですよ」と夫と顔を見合わす。食卓が健全であったことには自信をもっているのだが。。。「超音波内視鏡で癌がどこまで深くなっているか検査して病期を決定するけど、浅ければ手術だけでいいよ」と、私の背中をさわって、「ここを切って、胸をあけて、6カ所メスを入れて。。。」と説明してくれる。この手術の方法はどこかで読んだ覚えがある。もう一度文献を探さなければ。


日本の大学病院癌センターのサイトを読むと、日本では手術を行うところと放射線抗がん剤の治療を推すところと議論があるらしいが、少なくとも米国では早期の場合は手術らしい。彼に会うまでは手術をしない方法があればと思っていたが、なんとなくあきらめがつき、木曜日に超音波内視鏡で検査してもらうことにした。


実は昨日、例の末期癌2つから生還した医者と話したのだが、「食道癌みたいな珍しい癌はBrigham and Women's で治療すべきだよ。珍しい病気は「フォーカスをきちんと搾れる工場」(focused factory)で直してもらわなきゃならないんだ。術後のケアもあるしね」とアドバイスしてくれた。またメイヨクリニックの友達もBrigham and Women's がいいと薦めてくれた。2つの強力なアドバイスがあるので、たぶんこの先生を選ぶことになるだろう。


今週はまたもや、検査だらけだ。水曜の午後は子宮と卵巣の超音波検査。水曜の夜は頭のMRI(用心のためにどの患者もやるらしい)。そして木曜日は超音波内視鏡検査。そして来週の月曜(12日)にはネクストステップのコンサルになる。


実は今週末はシアトルの甥の結婚式に行く予定にしていた。しかし12日にコンサルが入ってしまったので、この旅行はキャンセルしなければならない。せっかくドレスも、ネックレスも買ったのに残念!でも冬にアリゾナに住む新婚夫婦を訪ねる理由ができたと考えることにしよう。


なぜ10時半に医者との面接を切り上げたかというと、11時半から2時まで60キロばかり離れたとこにある会社での通訳を引き受けていたのだ。8時のアポだったから遅くても9時半には帰れると思っていたのだ。当然着替える暇もなくティーンエージャーのような格好にカーボーイブーツで仕事をすることになった。実は3時から5時までも別の仕事が入っていた。日本の非常に有名な会社の役員の方がいらしていたのに、その格好のままだった。「若作りの変なオバちゃん」と思われたに違いない。


両方とも非常に技術的な話だったけれど、とても楽しかった。癌の宣告をされた翌日の仕事では、仕事を一緒にしている人達がガラスの向こう側にいるような、自分だけが現実世界から隔離されているような思いをした。しかし、今日は皆と同じ時空で仕事ができた。病気をもっている私、大手術を控えている自分が私の日常になったのだろう。


「7月の仕事もお願いできますかね」
「お返事後1週間ぐらいまっていただけますか?ちょっとヤバイ手術をしなきゃならなくなったのでお断りしなきゃならないかもしれません。飲み過ぎたのかも。でもこの次いらっしゃる時は梅干しと焼酎もって来て下さいね」
「え、もしかして肝臓?焼酎はやばいんじゃないの?」
「いや、肝臓じゃないんですけどね。焼酎はね、も1人ウチにノンベイがいるんですよ」

かなり普通の会話ができるようになったというか、懲りないというべきか。。。