先日メーンに一緒に行った友達が「kitchen Table Wisdom: Stories That Heal」Rachel Naomi Remen著(台所の智慧;治癒してくれるストーリー)という本を貸してくれた。その中の一節:


身体を完全にしようとする衝動は自然であり、全ての人に備わっているものだが、みな個性ある様々な方法で治って行く。仕事があるから治る人もいるだろう。仕事や他人の期待、圧力から解放されて治癒する人もいるだろう。音楽が必要な人もいるし、沈黙が必要な人もいる。周りに人がいなければならない人も、孤独が必要な人もいる。様々なものが私達の中の生命力を活性化し強化する。各個人の治癒に必要な条件は、それぞれ指紋のようにユニークなものである...


私の治癒に必要な条件は何だろう?2001年の同時テロからおよそ1年ぐらい通訳の仕事が全くなくなった。その時は時間をもてあましてどうすればいいか分らなかった。だから私には仕事が必要だと思っていたのだが、今のようにのんびりと本を読み、内省し、休みたい時に休む生活もかなり快適で、その快適さに自分でも少し驚いている。しかし、ただ1つ言えることは私には人との接触が必要だということだ。人と会ったり、話をしたりすると、その人のエネルギーが貰えるのだ。だから最初は自分の記録のため、そしてコミュニケーションの為に始めたこのブログが私にとってはとても大切なものになりつつある。治癒のために孤独が必要なタイプの人には想像もできないことに違いない。


ところで、その本にイメージトレーニングへの言及があった。癌治療の一貫としてポジティブなイメージを描いて免疫を高めるプログラムである。手術や抗がん剤治療に際して患者はポジティブな闘い魂のあるイメージを描くように指導を受ける。この本の中では好戦的な「鮫」のイメージをどうしてもうまく描くことができなかった患者の話がでていた。彼は代わりに「なまず」をイメージして成功したらしい。魚を飼うことが趣味だった彼にとって一見地味な「なまず」こそが「判断力があり、用心深く、完璧で、不動、信頼のおける生き物」だったのだと言う。


一体私は何をイメージすればいいのだろう。「闘い」「戦争」、私の大嫌いな概念である。笑われるかもしれないけれど映画スターウォーズでさえ目をつぶる瞬間がある。そうやって考えているうちに、すーっと心に入りこんできた映像があった。マハトマ・ガンジーである。非暴力で無益な流血を避け、インドの独立を率いたガンジー。あのしんとした堅固な姿勢には入れ込むことができる。近いうちにまたビデオを借りてみてみよう。


今日は1978年にオハイオ大学大学院で勉強した時、寮の隣の部屋に住んでいた友人とお昼を一緒に食べた。25年来の友達である。彼女からとっても素敵なカレンダーを貰った。映画「カレンダーガールス」のように、中年の女性の趣味のいいヌードが毎月ピンナップされている。モデルは、乳癌を克服し、年一回アトランタでドランゴンボートレースに出場している女性たちである。力を貰える気がする。さっそく仕事場の壁にかけた。