自分でも未だに信じられないのだが食道癌に罹ってしまった。きちんとした記録をつけておきたいし、自分を客体化する時間を設けたい。そう思ってこのブログを始めことにした。これまでの時間的な経過は以下のとおりだ。

一月に日本から帰国して以来咳がとれない。たちの悪い咳ではないのだが、通訳の仕事上差し障りがある。それに時々急いで食事をすると胃に落ちにくい。さらに3月、4月と友達が次々に癌に倒れた。「50になったし、一応見てもらっとくか」ぐらいの気持ちで医者に行ったのが3月の終わりだった。咳に関してはネイザルスプレーが処方され、胃の問題には市販のH2ブロッカーを買って飲めといわれたのだが、全く治らない。胃の調子が増々悪くなったので内視鏡検査をしてもらうことにした。

5月11日。「胃の入り口が小さくなるのは良くあること。広げてあげるよ」と柔和なインド人の医者Dr. Pは内視鏡検査の前に優しく微笑んだ。しかし麻酔から醒めた時の彼の顔は憂いで一杯だった。「このぐらい(指で2センチぐらいをしめす)のポリープが食道にあったから生体をとったよ」と言われた。

実は生体の結果は17日に分る筈だったが、17日は仕事。無理を言って16日に結果を出してもらった。先のドクターからの電話。「残念ながら癌。およそ5センチの扁平上皮癌ーやや分化している。これからは癌科のS先生が受け持たれます。このS先生がこれから癌の治療に必要な機能、部門をオーケストラの指揮者のようにまとめてくれます。電話番号は。。。」

その時にはS先生とは19日に会うことになっていたが、17日に中国から帰って来た夫が一日も早く会うべきだと主張し、結局18日に会って、これからのテスト、治療の仕方について話し合った。

今日はこちらではまだ19日。あっという間にCTスキャン、PETスキャン、外科医とのコンサルテーションが来週にスケジュールされた。この効率の良さはとても嬉しい。できるだけ仕事を続けるつもりだったけれど、声がかすれて来たし、咳もとまらない。夜になると非常に疲れる。癌が進行しているのだろうか。やはり仕事は全面的にキャンセルしなければならないようだ。